集団走行の勧め

集団走行の勧め

自転車競技の集団走行のメリットは改めて言わずとも理解されていると思います。

ただこれがレースにおいてのその実行が下位カテゴリーになるほどに少なくなる

のはご存知の通りです。

「おいおいタイムトライアルじゃないんだよな」という光景だらけです。もちろん走り

方は自由です。1人で走りたいと思い実行している方には失礼ですがセオリーはと

いうとやはり集団走行です。

なぜエリート選手が特別な場合を除き集団になって走るかというと「楽」だからで

す。楽に走ってよいのかというと良いのです。次に来る「苦」に対応する為の体力

の維持・充電が一つの目的で時には楽でない集団事情の時もありますが基本的

には速いも遅いも集団は一人で走るよりも楽だということです。

先頭集団は別としてここで方法は多彩にあるとは思いますが集団の作る際の個

々選手の意識と方法の一例を紹介したいと思います。

 

効果

まず第一に大前提として選手一人一人が集団を作るという意識を持たなければ

集団はできません。偶然に出来上がった集団は集団とは名ばかりで本当の集団

とは言えずただの塊です。

ここで言う集団とはメリットを求め、そしてそれ以上の効能を期待して集まる意識

を持った集合体を言います。

メリットは言わずと知れた端的に「風よけ」、自分のパフォーマンスの維持に役立

ちます。

第2集団であれば先頭集団に追いつく力になるかもしれません.。

その次の集団であれば前の集団に追いつく原動力も期待できます。

単独では無理な制限時間内の「完走」も集団では可能性は高くなるのは当然考

へられる事です。

それらの事をすべて頭の中で判断しながらそのグループを形成していくのが良い

のですがなかなかレース中に考えを纏めて行くのは経験がないと難しいものです。

 

タイミング

そこでレース中に今までは集団で走ろうと意識を持たず、これから新たに心掛けよ

うとするならば、トップグループから遅れだしたならば直ちに同じように遅れている

選手の後ろについて走り、その選手の追尾がきつい様であれば自分のペースに

あった選手を見つけて走る。ばらけが酷くなるほどにちょうど良い選手も見つけに

くくなるので早めに見つけると良いでしょう。(人の後ろばかりで走り先頭引きで揉

めるのもレースであり、駆け引きの楽しみ)

 

コミュニケーション

そして大きなメリットとして同じような脚力が周りに集まるわけですから当然次の

レースそしてまた次のレートと顔を合わせる機会が多くなるはずです。

常にとはいきませんがその集団が落ち着いた走りをしている際に軽い会話、たと

えば「どこから来たのですか」「どんな練習をやっているのですか」からでも始め

回数を重ねれば「前の集団を捕まえにいきますか」「ペースがちょっと遅いので

少し上げますか」逆に「ちょっと速すぎるので集団がバレないように落としますか」

と会話も進歩するはずです。

まずは集団の中でコミニケーションを取り合い少しだけでも知り合いになることで

集団の効果も増大になるのは間違いありません。これはレースの上で大切なこと

で又楽しいことの一つでもあります。(話しがなかなかまとまらないこともしばしで

、又これもレースの内です)

 

集団の維持

あとはその集団が自分にとってメリットがあるのかという判断。十分にメリット有と

判断を付けたならばその集団が崩れない様に努力します。

どのような判断かはケースバイケースですがレース前半から中盤以降くらいであ

れば集団全体の脚力、平地を基本として一番は上り坂。ここでは脚力の差が見え

易い地点、ここで自分がこの中で坂に対してまあまあの脚力だと判断したら、崩し

たくない人数までのペースを合わせなくてはいけないというちょっと勇気がいるこ

とをしなくてはなりません。或いは坂を先に登って待つという方法もあります。

いずれにせよこうして一人よりはこの集団にいれば早いか若しくは同じ位のはず

と判断するわけですがこの考え方が常にセオリーではありません。

たとえば仲の良い選手が同じ集団の中で目で「きついからペースを落としてくれ」

と訴えてきました。この集団で自分は今結果的にリーダー的存在なのでダウンす

ることは簡単なこと、でもここで落とすと地形的にも前の集団に追いつけなくなっ

てしまいます。あなただったらどうします?

あわせて前の集団はメイン集団だったりして、あるいはペースを落とすと完走が危

なくなる状況では?

このようにケースバイケースであって全てにセオリーはありません。ここに述べた

ことはあくまでもワンタイムの考え方です。

集団の維持とは端的に言うとその集団での脚が強いと思われる選手達はペース

が下がってもメリットを得られるまでの速度ダウンの選手のペースにあるところま

で合わせるということです。(あるところまでとは自分が集団の意思に逆らいその

集団から逃げを打ったりすることでゴール前や最終周回では当然のこと)

 

走行考

あとはその集団を維持してこの集団でトップに追いつける。或いは追いつくと判断

した場合はそれなりの努力を、そうではなく完走は問題ないがトップにはとてもで

は追いつくことはできないない集団はその集団でレースをすればよいかと思いま

す。することはそのレースの先頭集団とやることは同じ、その集団から逃げを打つ

のもよし、スプリントに持ち込むのもよしでそこで駆け引きを楽しんで下さい。

そうでなく完走が危ない集団は時間を計算しながらのレースになります。1周毎の

ラップ時間を確認し、残り周回数や距離を考慮に入れて今の速度で完走可を割り

出します。その辺の集団ともなればあらかじめポイントを決めて置きこのポイント

を何時何分に通過していれば完走が可能というメモや知恵をもって走っている選

手がいるかもしれないしそれがなくても今走っているデータだけで完走可能ペー

ス等を割り出す計算が得意な選手がいるかもしれません。

とにかく速いも遅いもお互いの頭を使いながらレースを楽しんで下さい。

 

ここまではその集団でリードする選手の目線から書きましたがそれ以外の集団の

中の選手はどうするかというと前文で書いたリード選手の努力が見えたならば出

きることならば協力して前を少し引いてみたり逆にはっきりこのペースはきついと

告げるのも協力となることもあります。リード選手が今の人数を減らしたくなく、少

しくらいペ―スを落としても大丈夫と判断すれば落とすかもしれません。

つまり出来る範囲でその集団に貢献できることを考え実行することです。

 

ある雨のレースの事です逃げ選手2名で距離差は300m程、登坂路に差し掛か

り先頭が頂上を通過した時くらいに追走の30名ほどの集団は急にペースが落ち

ました。頂上を越すとあとは長いカーブの多い下り坂で、すぐゴールになる、距離

で3km程です。下り坂に入った先頭の二人は追走集団にどんどん差を広げてい

きます。しかし追走集団はペースを上げようとしません。普通で考えれば今のうち

に追い上げなければ逃げ切られてしまいます。

そんな追走集団の中で一人の選手に向かってこんな会話が交わされていました。

「調子はどうだ」,「お前に任したぞ」、「お前次第なんだからな」聞かれた選手は

登りに苦しみながら苦笑いをしていました。

追走集団が坂の頂上になるとその選手を先頭にして濡れた道路をもろともせず

下りはじめその選手の後方に一列で他の選手は続きました。あっという間に先頭

の二人は追走集団に飲み込まれてしまいました。

追走集団の選手達はその選手が下りのスペシャリストだと実績と普段のコミニケ

ーションの中で知っていたのです。

スプリント力もなく坂も上るのは得意ではありませんが坂を下らせればこの選手

右に出るものはありません。「速いだけじゃなくあいつのラインをついていけば絶

対に転ぶことはない」と言わしめるほどの下り屋だったのです。まして今日は雨、

その選手のペースに合わせて先頭と差がつくのは承知で登りが遅くなったのもう

なずけることです。

そしてその日も又その選手は勝つことはありませんでした。

実績もありますが集団の中でその選手の調子を見たり実際に「調子どうだ」と声

をかけながら他の選手にレースの動向を託すというのもロードレースならでは。

これは一般観客が知らない選手だけが知っているドラマでありレースなのです。

皆さんも集団でドラマを作り上げてはいかがですか。

 

ロードレースというものはシュチエーションの多彩さでおのずからその場その場で

セオリーが変わります。つまり説明しても「こういう場合は?」「ああいう場合は?」

と展開にきりがありません。でもそれがレースです。それが楽しいのです。

いろいろとレースには個々にドラマが生まれます。しかし一人で走っているとドラ

マの数も厚みも薄れます。そのドラマもなかなか他の人と共有も出来ません。

集団で走り皆でドラマを作り上げ感嘆感激して思いを共有するレースをして楽しさ

をどんどん増していって下さい。